●2013/5/14~19 ●メンバー WS・WM 2名
<5月14日(火)晴れ> 奥千本口~青根ヶ峰(858m)~四寸岩山(1235.8m)~5番関
行動時間:5時間40分
大阪阿部野橋駅を出発しケーブルとバスを利用し、吉野奥千本より歩き始めるが、まずは舗装道路を行く。タラの芽が既に大きく、山菜があるのではないかと期待する。まもなく杉林に入るがただただ歩くが、杉林は風が通り涼しい。
青根ヶ峰は特に何もない。茶屋跡の看板、四寸岩山は看板だけで通り過ぎた。足摺茶屋跡には小屋の中に仏像が祭られているが、宿泊はできない。二蔵宿小屋は無人、綺麗な山小屋でトイレもあり、水場は10分程度下った所にある。その後歩けど尾根には上
がらず、沢に向かっている事に気づく。
大天井ヶ岳に行く予定だったが、踏み跡が不明瞭で、看板に従い間違えたようだ。このコースは五番関に向かう在来道だった。沢の登山道は崩壊しているところもあるが通れるように修復されていた。
55番関に着くとロープが張ってあり、今まで通ってきた道は通行止めになっていた。水場は沢の途中にしかなく間違えたのが良かったようだ。今まで誰一人会わなかったが、テントを張り終えると2人組が5番関の登山口に降りて行った。女人結界門があり、山上ヶ岳は未だに女人禁制になっている。
●5月15日(水)晴れ 番関~山上ヶ岳(1719.3m)~大普賢岳(1780m)~行者還岳(1546.5m)
~行者還避難小屋 行動時間:9時間20分
5番関から小天井ヶ岳(1211m)を越えて洞辻茶屋、茶屋の内部には板の間の部分と砂利を敷いている部分があり室内で焚き火の跡があった。昨日の小屋にも同じように焚き火の跡があった。油こぼしはロープが張られ通行止めになっていた。
山上ヶ岳に近づくにつれ鎖場が出てきてた。修行の道なのだなと実感する。山上ヶ岳の手前には出店が並びその中を通って大峯山寺や宿坊へと向かう。時間が早かったからか、出店やお寺周辺には人の姿はなく、一人の行者さんだけがいた。
山上ヶ岳を降りると、小笹宿があり苔むした綺麗なところで水も豊富に流れていた。暫らく歩くと、阿弥陀ヶ森の分岐に出た。そこにも女人結界の門がある。5番関から降り、阿弥陀ヶ森で合流するらしい。山上ヶ岳前後に単独者2名に会う。それが登山者では始めてすれ違った。
大普賢岳には2パーティーが休んでいた。はるか遠くに弥山が見える。国見岳(1655m)、七曜岳(1584m)と越え、行者還岳に寄り、降りてくると間もなくホースから勢い良く流れる水場がある。10分くらいで行者還避難小屋に到着。とても立派なログハウスで飲み水はない。3パーティーが泊まっていた。
●5月16日(木)晴れ 行者還避難小屋~弥山(1895m)~八経ヶ岳(1915.1m)~釈迦ヶ岳
(1799.6m)~深仙小屋 行動時間:10時間50分
朝はガスの中をスタートした。徐々にガスが晴れた。背の低い笹原を歩き、弁天の森は気持ちの良い広場を進む。弥山への登りは、木製階段の連続で下を向いて黙々歩くと、広く平らな所に出ると立派な弥山小屋、有料トイレがある。ここは唯一有人の山小屋で、売店もあるらしいが、中までは見なかった。山頂は神社となっている。周辺には立ち枯れした木がある。
八経ヶ岳までは近く30分位で岩を登ると山頂に到着。弥山や八経ヶ岳を振り返りながら、沢山生えているバイケイソウがアイヌネギなら良いのになと思いながら歩き、やっと楊子ヶ宿小屋分岐。仏生ヶ岳(1805.1m)孔雀岳(1779m)とアップダウンを繰りかえし、正面に大きな岩で行く手を塞がれた。
いよいよ釈迦ヶ岳に登ると山頂には観音像がそそり立っていた。笹原を900m降りると深仙小屋があり、水場は岩の下からポタポタと滴っていて、コッヘルが置かれていて2L位の水が溜まっていた。それがなければ水はない。千丈平に水マークがあるがそこまで行く時間もなくなり、ありがたく使わせてもらった。初めて小屋の中での焚き火を体験し、小屋に泊まろうと思ったが煙くてテント泊に変えた。
●5月17日(金)晴れ 深仙小屋~地蔵岳(1464m)~涅槃岳(1376.2m)~平治ノ宿 行動時間:8時間
朝までに2Lの水が溜まっていたので、水を足して出発する。石楠花岳周辺から花が見られるようになる。ブナ、ヒメシャラ、太いミズナラ。シロヤシオ、ピンクやオレンジのツツジと綺麗に咲いている花に癒されながら歩く。暑く、疲れが出てき、時経ノ宿でゆっくり休む。非常食が充実している。インスタントコーヒーからポカリ粉末等の飲み物。パックのご飯、レトルトカレー等など料金が書いてあり箱に入れて利用できるようになっている。水もポリタンクにNOを書き、ホワイトボードに入れた日時を書くようになっている。
手厚いサービスに心も身体も癒され再び歩き始める。今日は無理せず平治ノ宿で泊まりとする。ここにも非常食やポリタンクに水が準備されていた。ドアに「小屋内の焚き火は行者さんのためもあり、ゴミの臭いが断食の妨げになる」と書いてあった。登山道に焚き火の跡や各避難小屋には焚き火が出来るようになっていたのはこの山は修験道の為。やっと理解できた。水場は急坂を10分位沢まで、崩れている所もあった。
●5月18日(土)晴れ 平治ノ宿~笠捨山(1352.7)~地蔵ヶ岳(1250m)~玉置山展望台
行動時間:11時間10分
天気も良く気持ちよくスタート。転法輪岳(1281.5m)、倶利迦羅岳(1252m)、行仙岳(1227.3m)を越えて笠捨山へ。その後の地蔵岳は登りも、下りも長い鎖場があり厳しい所。香精山(1112.9m)を越えるとひたすら下りに膝も痛くなる。
古屋宿跡から21世紀の森で泊まろうかと思っていたが、明日の水場が地図に記載がなく展望台まで進む事にする。のんびり歩いていると、昨日21時に吉野を出発し24時間で備崎の川まで走りきるトレランをしている人に追い越される。舗装道路を歩きながらやっと展望台に到着。雨水を大きなタンクに貯めている水のみだが煮沸して利用する。
●5月19日(日)晴れのち雨 玉置山展望台~玉置山(1026.8m)~大森山(1078m)~五大尊
岳(825m)~大黒天神岳(573.9m)~七越峰~備崎
行動時間:10時間
玉置山までは30分位で到着、山頂直前の道両側には石楠花が満開に咲いていて素晴らしい。玉置神社までの間、何箇所もの鳥居をくぐる階段を降りる。玉置神社の周辺には太い杉林だった。大森山にはまだ椿が咲いていた。急な下りにもロープはなく滑りながら降りる。見通しのない道で、花もなく黙々登り下る。
大きな熊野川や大原の旧鳥居が見えた時にはホットした。しかし、雨が降って来て、その後も備崎の川までは遠かった。今日は本宮には行かず、川湯温泉まで歩きホテルに入る。玉置神社までは全く水がない。順峰だと厳しい行程になりそう。
大峯奥掛道は全行程ゴミはなく小屋もトイレも綺麗に整備されている。ブナやミズナラ、ヒメシャラ、杉林やツツジなど見るものも沢山あり、整備された広い尾根も気持ちが良い。でも、長い尾根道、水場も少なく、鎖場など険しい所もある。今でも行者さんが修行をしている焚き火の跡、木の根元にはお札が納められていたり、石仏が沢山あり思わず手を合わせて通った。固く踏みしめられた道に歴史を感じながら歩いた6日間だった。 (了)