- 2014/8/29~31 ●メンバー yoshida・Y澤
昨年の同時期、針ノ木峠から縦走のおり最後の区間としてこのルートを歩こうとしたが、縦走疲れと難場の大渋滞に巻き込まれ前穂高経由で下山したのが心残りだった。今回は同行者を伴い、ロープウェイで手軽に高所に移動できる西穂高岳側から再挑戦した。 西穂山荘から奥穂まで約8時間を要したが、他パーティの滑落事故も発生、最難関ルートの名の通り気が抜けない縦走であった。 <yoshida>
<8/29> 松本~電車、バス等乗り継ぎ、新穂高温泉ロープウェイ~西穂山荘(泊)
<8/30> 西穂山荘~独標~西穂高岳~ジャンダルム~奥穂高岳~穂高岳山荘(泊)
ガイドブックでパンパンに膨らんだ頭は、西穂山荘を出発して間もなく、笠ヶ岳と北へ延びる稜線、明神岳から昇る太陽、焼岳と左奥にうかぶ乗鞍岳…に一瞬にしてしぼんでしまった。
このルートは北アルプス最難関とも日本最難関ともいわれる一般ルートとのこと。登山道と呼べるのは独標までだろう。あとはひたすら岩をアップダウンする。
前日の予報に反して飛騨側は青空が広がってくれた。信州側は絶えずガスで視界は悪い。 西穂〜間ノ岳山頂らへんからは何度か一瞬、槍を望むことができた。
西穂山荘を出てすぐのピークが展望の良い丸山
朝陽を浴びる笠ケ岳
独標からピラミッドピークへ
西穂へひと登り
ピークを踏み終え、西穂を振り返る
西穂のルンゼ登り、間ノ岳のガレ登り、天狗の逆層スラブ…と易しいところはないが、天狗のコルから始まる怒濤の登り〜畳岩尾根の頭〜コブ尾根の頭…が狭いところが多く、角度もきついところが多い。露出感も高い。ジャンの登下降はさほど難しくはない。
両側が切れ落ちた尾根を行く
高度感はあるが、岩が乾いていれば逆層スラブはさほど困難ではない
岩の斜面をトラバース
天狗の頭から後方を振り返る。よく歩いたな~
ようやく見えたジャン。こちら側から見ると見栄えは悪い
薄くなったガスの中から奥穂がチラリ
ジャンの壁を登る。見た目ほど難しくはない
ジャンダルムの頂上、ガスって展望なし
むしろここからのトラバース、ロバの耳の通過の方が緊張する場面が多かった。そして最後の難関…それにしても馬ノ背は薄すぎる。1カ所どうしても右足が伸びず跨った。まさに馬乗り!右足は信州、左足は飛騨…。そして、辿り着いたガスの奥穂。
難場のウマノセ。両側は切れ落ちているけれど、手掛かり足掛かりがあるので楽
右足は信州、左足は飛騨側、跨いで登る
長居は無用とばかりにそそくさと山荘へと向かう。が、実は山荘が見えてからの最後の締めくくりがハシゴの壁とは…簡単にはビールを飲ませてはくれない!
奥穂からの下り。穂高岳山荘が眼下に
翌朝、ガスが徐々に薄くなってきた。出発をやや遅らせて、奥穂へと登り返す。しばらく待つとガスが切れ、ジャンが現れた。反対側には前穂も頭を出した。これを見ないことには帰るに帰れない。この日はこれ以降、ガスが切れることはなかった。
穂高岳山荘から奥穂を見上げる
翌朝、再び奥穂へ。登山者でにぎわう頂上
昨日は見られなかったジャンもくっきり。ジャンはやはりこちら側から見るのがいい
帰路のルート。雲海の中に前穂が浮かぶ
奥穂からの下降ではハシゴや鎖があり、まだまだ気が抜けない。やがて登山道となり、吊り尾根南側を徐々に下る。紀美子平にザックをデポし、前穂をピストンする。真っ白い山頂に一等三角点(点名:穂高岳)を確認した。
吊り尾根の中にルートが設けられている。眼下数100mまで岩壁がつづく
けっこうきつい重太郎新道
岳沢を一望できる場所に出ると一息つける。上高地までがんばろう
あとは延々と標高を下げていく。岳沢小屋の赤い屋根に安堵し、カレーとビールを一気に流し込んだ。随分降りたようだが、まだ旭岳程度の標高。まだまだ下らなければならない。最後に小1時間ほど雨に打たれたが、事前の天気予報から考えれば、超上デキであった。いつしか雨もあがり、梓川の水の美しさに心奪われていると河童橋についていた。
いつかはここを歩いてみたいと思ってはいたがこんなに早く訪れようとは…しかも人生初の3000mがジャンになろうとは…とにかくすばらしかった。貴重な体験をさせて頂いた。次は涸沢カールから穂高岳山荘に上がり、今回の続きとして…山荘から涸沢岳、北穂を越えて、槍に向いたい!西穂から槍へと繋ぎたい! <Y澤>