北見山岳会/KAC kitami alpine-club

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十勝連山~大雪山縦走 美瑛岳~オプタテシケ山~トムラウシ山~忠別岳~緑岳

  • 2017/7/25日~28日   ●メンバー Saito 他会員外1名

<7/25日> 望岳台(美瑛町)→美瑛富士避難小屋(泊)  行動時間(5時間)

  当初の予定では23日(日)出発の予定だったが、天候悪化が予想されたので2日延ばしての出発となる。高原温泉でA氏と待ち合わせをして、帰りの車を そこに置き一緒に望岳台(美瑛町)へ向かう。駐車場(望岳台)は観光客で満車だ、暫しスペースの空くのを待つ。 

  共同装備などをパッキングして11時30分望岳台を出発する。ポンピ沢を梯子で渡り美瑛岳分岐を過ぎるとガレ場続く、このあたりから風が出てくる。東京から来たという女性(二人)に出会い情報を得る。旭岳から黒 岳(泊)、黒岳から南沼、南沼から避難小屋(美瑛富士)まで行動時間(11時間30分)ん?凄いコースタイムだ。それもあまり疲れている様子はないのが驚きだ。

  その時に、避難小屋(美瑛富士)に は水が無いと情報を得ていたのにまだ先でも取れると思い小屋からまた雪渓まで

戻るドジを踏んでしまった。小屋には先客(男性-40歳位)が居て、南沼から避難小屋まで12時間で来たとい う、皆さん凄い脚力です。その後70歳の登山(男性-1人)が初めてオプタテに来たという、お元気です。

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<7/26日> 美瑛富士避難小屋→オプタテシケ山→ツリガネ山とコスマヌプリ間(1,550m(泊)  行動時間(10時間05分)

 今日は一番辛い日だ。4時30分小屋出発する。外は冷たい風が吹き曇って展望無し、登山道に出ると間もなく石垣山の登りがありそれを下るとベベツ岳の登り、それが終えると本日のメインのオプタテシケ山の登りが続く。山頂からの展望はうっすらと美瑛富士と美瑛岳の姿だ確認できる程度だ。

 オプタテシケ山の下りは双子池CAまで一 気に600mも下る。南沼から来るとこのきつい登 りが待っているので今回は美瑛岳からのコースにした。途中の雪渓で水を(1l-1人)得る。間もなく外人4人に出会い、双子 池CAからだという。この頃には天候も回復し陽射しが強くなる。  双子池CAを過ぎると背丈以上の笹薮が続き、まるで廃道かと思いたくなるような登山道だ。

 暑さ と背(17㎏)の重さ喉の渇きが襲ってくる。オプタ テシケ山を過ぎて4時間でコスマヌプリ(1626m)に着く、振り返ると今下ってきた大きなオプタテシケ山がドーンと目の前にありその存在感に圧倒される。

 今日の予定は三川台だが6時間30分歩いてもコスマヌプリだ。ここから三川台までまだ4時間30分掛かる。暑さと荷の重さ(17kg)に一向に距離を稼げない。山頂からはあちこちに雪渓が見えて いたのに、登山道から離れていて水を得ることが出来ない。   喉の渇きに脱水症状の危険を感じる。コスマヌプリとツリガネ山の中間地点(登山道)でテント張り本日は終了とする。テント場に は水が無く、この日は持参した水でつらい夜を過ごす(夜中に喉の渇きを覚え1滴、2滴の水で耐える)。

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<7/27日> テント泊地(1,550M)→三川台→トムラウシ山→化雲岳→忠別岳避難小屋)(泊)  行動時間(12時間05分)

 予定を変更して朝食をパンと紅茶で済ます、その紅茶のうまいことティーバックを手で絞って飲み干す(これで少し元気になる)。

  ツリガネ山を過ぎて三川 台の登りになると朝露で登山靴が濡れ、靴下まで ぐちゃぐちゃになる。絞るとぼたぼた水が滴り落ちる。三川台(カール状地形)の手前にテント場(2張)があるがその奥にある水場に気が付かなかった。三川台はその名の通り台地で、 南側にはユウトムラウシ川の源流であちこちに雪渓や沼が点在するカール状の地形だ。北側の銀杏ケ原(黄金ケ原)はイワイチョウの群落が見ることが出来る素晴らしいところ だ。

 ここから南沼まで気持ちの良い稜線歩きが続く。登山道は南側はカール状の淵を歩きよそ見をしていたら大変なことになりそうだ。南沼はCAの西(7分)にありまだ大きな雪渓が残ってい る。南沼で一呼吸ついてからトムラウシ山の山頂へ向かう。山頂からはこれから向かう大雪の山々が果てしなく広がっている。見慣れた山々に懐かしさを感じる。南沼CAでゆっくり紅茶をのみ後半の行程(忠別小 屋)に備える。

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  2009年7月に起きたトムラウシ山遭難事故現場(北沼から溢れ出た水が川になった地点を渡渉中に誤って転倒し全身ずぶ濡れになる)の北沼を通関する。「なんでこんなところ で」と、A氏が呟く。

 ロックガーデンを過ぎると「日本庭園」だ。チングルマ、エゾノツガザクラなどの花が咲き疲れた体が癒される。

 化雲岳の登りを終えると木道がありそのあたりはチングルマ、エゾコザクラ、などが咲き、まるで十勝山域と違う大雪らしさを感じる。縦走して良かった思えるひと時だ。

 忠別小屋は稜線から15分下った大きな 雪渓の側に建っている2階建(40人)ての綺麗な小屋だ。 CA場もあり冷たく美味しい水もありようやくここまで来た安堵感が二人を緊張から解放された。

<7/28日> 忠別岳避難小屋(泊)→白雲岳避難小屋→高原温泉  行動時間(9時間)

  最終日。A氏が食欲が無いとパンを一口食べ紅茶を飲んだだけ、本人は「疲れると食欲がなくなる」と、これからまだ9時間の行程が待っているので心配した。きつい忠別岳の登りを過ぎると高根ケ原のお花畠のコマクサの群れや可憐に咲くヨツバシオガマに元気をもらう。

  三笠新道はトラロープが張ってあり通行止め、ここから下山できれば1時間30分は短縮する事が出来るのに残念だ。遠かった白雲小屋(泊-1000円、 CA-300円)にたどり着く。ここまで来れば後は緑岳を下るだけだ。小屋から見るトムラウシ山は遠くさらにオプタテシケ山は霞んでよく見えない。よくここま で歩いて来たと二人もあまりの疲労感に言葉にならない。

  緑岳からの下りは今までの疲労と緊張のゆるみから怪我の無いように慎重に下る。間もなく小雨が振り出すが今まで雨が降らなっかった事に感謝する。無事に高原温 泉(最終点)着いた。これで今年の夏が終え た。

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※美瑛→大雪縦走は永年考えていた構想だが、時間と体力が備わらずのびのびになっていた。今年実行しなければもう出来ないと思いA氏に話すと協力してくれる事に なった。実際行動してみると自然環境(風と暑さ)に左右され、特に二日目の水不足に悩まされる事となった。暑さに水分がどんどん奪われて飲んでも飲んでも喉の渇き が癒される事は無かった。その時思い出されたのは、戦場で「水をくれ!」と亡くなった人の話、二人とも脱水症状ですっかり体力を喪失してします。反省点はもっと装備の軽量化を考えなければならないと痛切に感じた山行だった。行動を共にしてくれたA氏に感謝する。