北見山岳会/KAC kitami alpine-club

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北アルプス・槍ケ岳~北穂高岳縦走

●2012/8/11~8/16  天気 山中ずーっと雨●メンバー 2名 (T山&moco) 


 今回の山旅は様々な事を考慮した結果、フェリーを使ってプリウスで出掛けた。新潟港から上高地往復は札幌⇔北見と同じくらいなのだ。出発前の計画では、新穂高から入山し西穂→ジャンダルム→奥穂→北穂→大キレット槍ヶ岳上高地の予定だったが、天気予報は絶望的な傘マークが並んでいたので、計画を逆回りに変更して様子を見ながら大キレットとジャンダルムに備える事とした。

<11日(土)> 10:30小樽港発 移動日  

<12日(日)> 6:00新潟港着 平湯温泉あかんだな駐車場に向う12:50上高地 入山

       →16:00横尾山荘泊

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 リゾート地を通り抜け山道に入っても、ワンピースにサンダル、ジーンズにスニ-カー、ブランドバックに日傘…そんな方々とすれ違い自分がどこに来たのか戸惑う。2年前に建て替えられた綺麗な山荘でお風呂に入り初めての山荘ご飯に喜びを隠しきれず高いビールを一気飲みする。 

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<13日(月)> 5:45横尾山荘発→12:30槍ヶ岳山荘泊     

 横尾を出てすぐに私達を待ち構えていたかのように雨が降りだす。暑くてカッパの気
分ではなかったが止むを得ず着る事にした。槍沢ロッジに着く頃には風も出て来て、歩みをとめると震えが来るほどの体感気温になってきた。ガスで全く景観もなく寒さで休憩を取れずに歩いてきたせいか、全身に倦怠感と動悸(いつも以上の息切れも)がひどく、なかなか前に進めない。遠くからヘリの音が聞こえる。北アルプスって所は悪天でも荷揚げするんだろうか?

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 やっとの思いで山荘に着き、槍の穂先を探したがガスが濃くてどこにも見当たらない。外には人影もなく誰にも聞けぬまま山荘に入ると別世界の人だかり!! 取り合えず1人で1組の布団で寝られるとの事でホッとすると、睡魔と頭痛が襲ってきた…これが噂の高山病?そんな事より濡れた物を干さなければと乾燥室に行くと、そこは名ばかりの閉め切った廊下に炎が噴き出してるジェットヒーターが1台あるだけだった。ベストポジションを死守したはずなのに…見周りに行くと端に追いやられている。
 寝ている場合いではなく、何度も布団と乾燥室を行き来する。外は強風を越えた暴風となり、建物を揺らし始めていた。 

 雷アラームが鳴っていたのも凄く気になる。濡れた物は乾いたけれど、天候は回復するのだろうか…そんな事を思いながら頭痛薬を飲んで早々に爆睡。


<14日(火)> 6:30槍の穂先ピストン→8:00槍ヶ岳山荘発→11:00南岳小屋泊

 明け方に雷が鳴り3時半に目が覚めると辺りでは下山する人が準備を始めていた。天気予報が当たれば、この低気圧は停滞低気圧となり、あと2日は動かないことになるのだ。だとすれはもう急ぐ事はない。急いだところで、この天気で大キレットやジャンダルムは危険すぎる。
 今回の山旅の最大の目的である槍ヶ岳への登頂はのんびりでいいのだ。空いていれば往復1時間だが、悪天候で辞退される方が多かったおかげで1時間15分で往復できた。しかし槍の全貌も小槍の姿も見る事ができなかった。

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 3000mの高度も2日目ともなれば身体も慣れるか、今朝は体調絶好調!!大喰岳、中岳、南岳いずれも3000mを越える山々を霧か霞みかガスの中、風雨にさらされながら黙々と歩き、あっと言う間に南岳小屋に到着した。天気のせいか、小屋は空いていた。こじんまりとしていて清潔で、酸素やペットボトル入りの水のサービスがあり、和室の談話室には宿泊客がお酒を持って集い山談義に花を咲かせていた。ヤッター、これぞ私が思い浮かべていた山小屋の一幕!! 高い場所で飲む高いビールが凄く美味い。だがしかし、天気に好転の兆し一向に見当たらない。

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<15日(水)> 6:00南岳小屋発→大キレット通過→9:00北穂高岳→12:30涸沢小屋                  →17:00徳沢ロッジ泊
目覚めてみても外はやはり雨。しかし、風は穏やかそうなので大キレットに向けて出発する。ここでいくら頑張ってみてもジャンダルムに向えばフェリー時間までに新潟に戻るのは不可能なため涸沢か徳沢に泊るか、一気に上高地まで下山すか…?! 視界のないまま雨で滑るキレットに突入する。ルートはマークしてあるし、極太の鎖、梯子、ステップが要所に設置してあり快適に進む事ができた。

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  ガスで景色が見えないので距離感も恐怖感も湧かない。足場が悪くなかなか休憩も取れない。北穂高岳を通過し相変わらず天気に回復の兆しは無しと言う事で下山決定。涸沢に向うと、下は晴れているらしくカッパを着ていない人と随分すれ違う。一気に下山してきたせいか、顔がパンパンに浮腫みだし下山なのに倦怠感と頭痛でなかなか進まない。涸沢に張られたカラフルなテントがくっきりと見えガスはすっかり晴れていた。涸沢小屋にソフトクリームの看板があったが、食べたい気分にもならずひたすら下山の途についた。2日前のヘリの音は北穂での滑落事故だった事を掲示板で知る。
  ※連日の悪天候で写真のほとんどが白かった(T_T)  


<16日(木)> 7:30徳沢ロッジ発→8:40上高地下山→平湯温泉→松本観光 

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 上高地が近付き辺りが明るくなった。振り返ると北アルプスの山並みが青空に映えていた。 <moco>